「日本インターネット書記」 鈴木幸一
日本インターネット書紀 この国のインターネットは、解体寸前のビルに間借りした小さな会社からはじまった
- 作者: 鈴木幸一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/03/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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タイトル通り、日本でいかにインターネットが発展してきたのかを、
IIJという会社の社長が見てきたこと・やってきたことを通して書いてある。
IIJという会社がまさに、日本のインターネットのイニシアティブを取り先導し続けてきたからこそ、その社史がそのまま日本のインターネット史たりえている。
1990年代、お役所とNTT(電話至上主義)に立ち向かって、インターネットの可能性実現へ邁進されたお話には、感銘を受ける。
私利私欲のためでは決してなく、インターネットのパブリックドメインという主義に則り、世界へ貢献し、それはまぎれもなくリーダーとして人を惹きつけ、動かす資質であり、だからこそIIJには優秀な社員が、危機に際しても退職せず、筆者についていったのだと思う。
インフラにこだわるか、ソフトウェアに手を出すか、
お役所相手の立ち回りはどうすべきであったか、
CWCの経営戦略から何が学べるか、
などなどケーススタディの宝庫でもある。
個人的には、やはりソフトウェアにも打って出るのが、良かったのではと思う。
会社の存在理由が、安定した高速インターネットの提供、に終始するのではなく、その先にユーザーの利があったのではないだろうか。
また、役所相手にはついつい早く訴訟を起こせばよかったのでは、と考えてしまうがこちらも机上だから言えることで実際には厳しかったのだろう。
CWCのように、世の中より早すぎるタイミングでのサービス、というのは非常に難しい。すべてのサービスは、そうなる可能性がある(ましてや遅すぎる、可能性もあり)世の中にベストなタイミングでサービスを提供するにはどうすれば良いのだろうか。小さく初めて反応を見る、リーンスタートアップのようなやり方しかないのかな。
起業、経営者の厳しさも感じることができた。「日本のインターネットは解体寸前のビルに間借りした小さな会社からはじまった」という一文がとても印象的。
同時に、筆者のタフネスが非常にすごく、見習いたいと思った。