夢はボトルの中に 

 

夢はボトルの中に――「世界一正直な紅茶」のスタートアップ物語

夢はボトルの中に――「世界一正直な紅茶」のスタートアップ物語

 

 

面白くて一日で一気に読んだ。

 

「競合だらけの飲料業界に飛び込んだ青年セスと

恩師バリー。商品開発、営業、資金調達・・・

とにかく失敗続きのふたりが全米トップブランドを

つくるまでを描いたノンフィクションビジネス漫画!」

 

ピーター・ティールの「Zero to One」で

「賛成する人のほとんどいない重要な真実はなんだろう」

この答えにこそ成功するスタートアップの秘訣が詰まっていると

言っていた。

この本ではまさに、主人公のふたりが

「消費者は実はもっと甘くない飲料を求めている」

という問いにたいしてオネストティーによって

懸命に答えようとしていく物語だ。

 

ピーターの問いの意味がよく理解できていなかった自分にとって

この本は非常に多くの学びがあった。

 

・自分が信じるものを立ち上げること。それがやがてブランドとなる。

・経営とは短距離走ではない。マラソンだ。

・経営はだいたい資金繰りに悩まされる。

・大企業の持つ設備、人、情報、販売網などどれも実は一朝一夕では

 手に入らない代物だ。(流通について、特に主人公たちは悩まされた)

・流通については、売れなきゃ取り扱ってくれない、

 取り扱ってもらわなきゃ売れない、という問題がある。

 小さな成功事例をコストをかけても作り、広げていくのが一つの解決策

・商品価格は①小売価格②コストから③価格による売上と利益率の

 変動を考える。

 

ふたりは商品だけでなく、社員や環境にたいしても正直で、

健康的であろうとし、また彼らがそうなることを支援した。

ブラック企業がたたかれる背景には、一見こぎれいなCMの裏で

それとは正反対のことをしている企業に消費者が気づき、嫌気が

さしてきたからだ。

真のブランドを構築するには、商品のみでなく企業自体がそれを体現する

必要性がある。

 

個人的に圧倒されたのは、起業直後の彼らの実現力だ。

オネストティーという発想自体はもしかしたら自分にもできたかもしれない。

けれど、それをどう実現するかは全く見当もつかない。

飲料はとても身近なものだけれど、そんな身近なものでさえいざ自分で開発し、

流通させようとするととんでもない苦労があるのだ。

例えば、仕入先は?どこで生産する?流通網は?売掛金の回収は?などなど。

 

信念のこもった問いとそれに対する答え。

この二つをスタートアップ検討時にはまず考えること。